むくはここでも一

本宅へ戻ってからのむくの生活は賃貸マンションでのとそれほど変わらず、午後の二時、三時、遅い時は夕方近くに起床していた。

そして食事以外はテレビを見るか携帯をさわって過ごす、ほぼ毎日その繰り返しだった。ただ生活場所が変わったのが原因か、かもめにはむくの鬱病が少しばかり悪化したように思えた。

本宅へ移動したことで生活スペースは広がったが、むくはここでも一人になりたがったので、結局かもめが外へ出て過ごすことが多いのは同じだった。

(これじゃ賃貸生活の時と同じような生活だ!)

かもめは不満に思っ康泰旅行社たが、それでも賃貸での生活よりはましだと思って我慢した。そして外出する時には、以前のように鬱病の薬を余計に飲まれては大変だと考え、常に薬を持って出かけていた。

一方からすは、賃貸と本宅とを行き来して会社へ通う、『旅がらす』のような生活を送っていた。

「お台場の海を見てみたい!」

夏休みの終わりが近づいたある日突然、むくが言った。

(そういえば夏休みなのに海外旅行どころか、近場の国内へも旅行していなかった)
かもめはむくの言葉で気づかされた。

「出かける元気はあるの?」

「うん、お台場ぐらいなら何とか行けそう。海を見たら癒されて、病気が治るような気がするし」

それを聞いたかもめは、本当にむくの鬱病が良くなるかもしれないと思い、また家族全員がリフレッシュする良い機会だ考え、急遽皆でお康泰旅行社台場へ行く計画を建てた。

しかし旅行へ行く前には、賃貸から持参した大量の荷物を一旦賃貸へ戻さなければならず、それは結構大変だった。

以前から泊まってみたかったホテル日航東京にお手頃価格の宿泊プランを見つけたので、かもめはそなホテルに決めた。

ホテルへ到着後は、まずランチを取るためにロビーにあるラウンジへ入った。

ここは海が一望に見dermes 投訴渡せるベストロケーションで、アフタヌーン・ティーセットが有名だ。このセットは正午から提供されるというので、それを注文した。

「うわぁ、とっても美味しそう!」