月と経たず体重は四


正常値と比べればまだ高いが、計測不能な値ではない。迷走を続けた挙げ句、わたしたちはようやく治療の糸口を見つけたのだ。
 この辺を境にわたしの食欲は復活していった。固形物が喉を通るようになり、七月初頭には体重も3・4キロにまで回復、中旬から本格化したメシマコブの投与がさらなる病状改善を呼んだ。
 それから一ヶ月と経たず体重は四キロ台を回復……一一月にはついに数値の一部が正常化した潔面產品
 わたしは死地を脱したのだ。

 それから四年。
 わたしの肝臓はメシマコブで護られ続けた。冬虫夏草より効果に優れたのがこの漢方だった。時に分量の錯誤から数値悪化、再入院もあったが……人間換算で約二〇年、投薬を受けつつ快適猫生活を楽しんでいた自閉症
 我が前に再び暗雲が立ちこめたのは今年の四月だ。
 どうも最近食欲がない。口の中も痛い。これにやっと自称飼い主が気付いたのだ。
 三木原家は猫多頭飼い環境だ。複数の皿に盛られたドライフードをみんなで食べる事から、だれがどれほど食べたかわかりにくい仕様だ。普段はもっと細かな食事管理がされていたが、原稿が大詰めとやらでそのへんが安易になっていたのだ露天餐廳
 他に大きな要因は、昨年末にコンビニ前から三木原が拾ってきた新猫のミケだ。その名の通り三毛猫な彼女は、捨て猫にありがちな慢性飢餓状態猫でたいそう食い意地が張っていた。彼女はわたしの皿の分まで御飯を食べてしまい、それで気付くのが遅れたらしい。
 というわけで、再びノヤ動物病院の出番が来た。迎えの車に乗ったわたしを見送った三木原は、『今度こそ歯石取りで歯肉炎、口内炎の改善かな?』と思っていたらしい。思えば四年前もこの問題からノヤに送られ、思わぬ病が発覚した。
 まさか今度も同じことにはなるまい……と思うのが人間の浅はかさである。
 一度あることは二度あるのだ。
 午後、獣医は粗忽者に検査結果を伝えた。
『病名は不明ですが、白血球値が異様に低いですね。リンパ腫を疑っても不思議じゃない』
 こやつが再び爆死したのは記すまでもない。
 ただ、四年前と違ったのは経験値を得ていた点だ。猫白血病ウイルス、猫エイズ検査などやるべき検査への同意が素早く為され、どちらも陰性と出た。ただ、そうなると白血球値の現象をうまく説明できない。奴は獣医師に言った。
「何だと思います?」
『骨髄抑制が起きている可能性は否定できません。とりあえず入院の上、点滴を入れます』
 やがて検査結果がFAXで来た。